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最近は、理不尽な暴力も当たり前となって来ている。
ルヴィの返事を聞きほんの数秒間が空いたが、俺は身体を正面に向き直した後、椅子の背凭れに体重を預けた。
「……まだ痛いぞコノヤローが……」
角の威力恐るべし、ってか?
軽い愚痴を呟きつつ、何となく天井を仰ぐと、1つの気配が近付くのを感じた。
あー、アイツだな。
「何?ハル。またエルに殴られたの?」
俺達の側で、綺麗な凛とした女子の声が耳に入る。
俺は体勢を変えぬまま、手をヒラヒラとしながら適当に返事を返す。
「ああ、そうだよ」
全く、と最後に付け足して、深く長い溜め息を吐いた。
彼女の名前は《ユウナ・セオッティ》。
何でも、学園で上位を争う程の美少女らしい。
……少し美形寄りの平凡な俺には釣り合う訳の無い彼女がココにいる訳は。
「殴られる原因を作ったお前が悪いだろ」
「そうよ。エ、エルの言う通りね」
ルヴィのどこか棘のある言葉に、ユウナは頬を染めながら同感した。
再び溜め息を吐きたくなる衝動に刈られるが、抑える。
……見てわかる通り、ユウナはルヴィに惚れ込み、俺達に近付いていた。
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