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嫌な覚悟を決め、視線を俺の命運を分ける場所へ戻す。
群れは勿論健在だ。むしろ、魔鉱石の奪い合いによる暴言が飛び交ってより強烈になったかもしれない。
各々が自分用の1個取るのにさえ苦戦しているのに、俺は5個も取ることが出来るのか?と少し悲観的にもなる。
だが、やらないといけないんだ。
俺は行く。
はっ、この程度の修羅場、何度もくぐり抜けてきただろ!
自らを無理矢理鼓舞した俺は、目標地点を睨み付け、そして……。
……地を蹴った。
果てしない戦いに、漸く決着がついた。
「……ル、ヴィ……。これ……」
「魔鉱石?取ってきてくれたのか?」
「へぇ、たまには役に立つんですね」
「だ、大丈夫?ハル……?」
──俺の勝利という結果を収めて。
満身創痍の俺はルヴィ達の元へ辿り着くと、倒れ込みながらも魔鉱石を渡した。
俺がここまでした原因であるユウナも、これで機嫌を直してくれただろう……。
てか、そうじゃなきゃ困るっつの。
とりあえず、うつ伏せの身体を仰向けに変え、息を整える。
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