魔武器

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 俺が内心ホッとしている間、サランがルヴィの寝顔に超夢中であるユウナとライラを呼ぶ。  今の内に、俺はひっそりと魔武器制作を開始する。  全員一緒にやると思っていたから、今の俺自身にあまり強い魔武器が出来るとは期待していなかった。  が。ルヴィという存在が俺の希望を少し叶えてくれた。  ……誰も見ていない今なら、少しだけでも制御を外して多少なりとも実戦で使用できる魔武器が作れる。  んじゃ、ちょっとだけ。  ルヴィを除く学園1位レベルにまで制御を外し、増えた魔力を即座に魔鉱石へ込める。  ″普通″なら、魔鉱石は光り輝いて形を変えていく。  だが俺の場合は違う。  闇のような光を薄く纏いながら、ぐねぐねと粘土のように変化していく。  魔武器制作をしたくなかった理由はこれもあったんだよなぁ。  絶対騒ぎになるから……。  全員で一緒に制作する予定になったら魔法で誤魔化すつもりだったが、その手間も省けた。  ルヴィ達だけでなく、クラスメイトも自分の魔武器に夢中。  まさに、絶好のチャンスだった。  気持ち悪く形を変えていた魔鉱石は、やがて1つの形で収まる。
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