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「…………」
出来上がった魔武器は、完成しても俺でさえ思わず無言になる程のモノだった。
……途中から、明らかに可笑しいとは思った。段々と凝縮されていくように″小さく″なっていったから。
でもそれだけじゃ、まだ俺がここまで呆然とする要因にはならない。
最大の要因は、魔武器の能力。
魔武器が完成したその瞬間、作製者の脳裏に名と能力が浮かぶようになっている。
……だから能力が判明した時、俺は当初の反応に陥った。
「ハルー。3人呼んできたよ!」
唐突に、サランの声が近くからかかる。
視線だけを向ければ、幸せだったと言わんばかりの表情を浮かべるユウナとライラ、そろそろ我慢の限界らしいサラン、欠伸をするルヴィがこちらへ向かっていた。
「……あれ?ハル、もう終わったの?」
「お、おう。一応……」
「そうか、俺も終わったからな。ユウナ、ライラ、サランもやれよ?……サランはもうやってるな」
ルヴィの一言に、ユウナとライラはハッとして漸く製作に取り組み始め、サランは珍しく満面の笑みを浮かべながら魔力を込める姿が既にあった。
……サランは楽しみにしてたんだろうな、騒がしくはしないけど。
そんなことを思いながら、手元の魔武器に再び視線を落とす。
──結果オーライ、か。
俺は静かに、笑みを浮かべた。
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