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へぇー、なんて声を漏らしつつ、俺は刀からルヴィへ顔の向きを戻し、ニコリと笑みを浮かべてやった。
「なんかいい刀みたいだし、良かったな!流石ルヴィ!」
一方のルヴィは、何故か驚いたような顔を見せたが、珍しく少しだけ顔を綻ばせ、小さく頷いた。
「そういうハルはどんな魔武器だったんだ?……つか、魔武器は?」
──まぁ、流れで来るのは予想済み。
あんまり見せたくもないモノでもあるが、そういう訳にもいかないのが現実。
″今のハル″には、あまり向いてない魔武器なんだよな……。
何となくだが、言いずらそうな俺の表情を見たルヴィが怪訝げに目を細める。
「……あーいや、魔武器はここにあるんだけどな?」
ぎこちない笑みに変わった俺が、制服の胸ポケットから魔武器を取り出す。
掌に乗ったソレを見てルヴィの目が見開かれたが、それは一瞬で、直ぐに眉を顰める。
紡がれた声色が、困惑を表していた。
「……指輪?」
そう、指輪。
シンプルに輪だけの指輪で、表は赤、裏は黒の色をしていた。
赤と言っても、血の色の様な汚い赤で、黒と言っても、光を受け入れず、闇のようにどこか″怖さ″を感じさせる程だった。
この時点でもう″俺″らしくは無いんだけどな。
あまりにもおどろおどろしく、皆が知っているハルの印象とは反対の印象を持たせるモノだから。
「ハル、それ本当にお前の魔武器か?」
だからこうして、ルヴィが疑わしげに眉根を寄せるのは解る。
「正真正銘俺のだぞ。魔鉱石からコレに変化したし、名も能力も解るし……」
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