学園

6/11
前へ
/168ページ
次へ
「どんまい!ユウナ」  俺は不機嫌丸出しの表情をしたユウナに満面の笑みを見せ、明るく励ましてみた。  ……俺で機嫌が直る事はまず、無いんだけど。  予想通り、ユウナはこちらへ顔を向け、キッと睨み付けた。  小刻みに震える拳が、俺の視界に写る。 「五月蝿いッ!!」 「ぐぼぉッ!!」  怒りの、俺にとっては理不尽極まりない鉄拳が、顔面へと放たれた。  濁った悲鳴を上げ、そのあまりの勢いに後ろへ吹き飛ぶが、窓に思い切り激突し前のめりになり、そのまま床に伏せる。  ……クッソ、これはヤバイな……。  身体のあちこちが尋常では無い程痛み、一部を動かそうとしたら、耐えられない痛みが襲う。  ──窓に激突した時、最悪なぶつけ方したもんな。  朦朧とする意識の中、ルヴィとユウナの会話が聞こえた。 「うわ、ピクピクしてて気持ち悪い……!」 「確かに……」  ハッ、好き勝手言いやがって……。  言葉にしたい思いも、口には出来ない。  兎に角、何とかしねぇと……。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6290人が本棚に入れています
本棚に追加