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  心の中を埋め尽くしていく   許せない苛立ち。   結局僕はさっき見たことを   理由にして、この敗北感を   無くしたいだけなのだ。   僕の方があの教師よりも   優れている。役に立つ。   だから、僕は   劣ってなんかいない。   そう安心したいだけ…。   自分の欲を根本的な所まで   理解した上で、どうしても   僕は欲しい。   あの教師の弱味が欲しい。   このままじゃ   絶対に引き下がれない。   負けず嫌い。   とことん僕はそういう人間   なんだと実感する。   制服のズボンのポケット   から携帯を取り出し、   電話帳を開き、タッチ…   もう一度タッチ。   耳元で機械音がする。   1コール…2コール…   3コール…4コール…  『はい』  「……遅い」  『申し訳ありません。   気を付けます』   ゆっくりとしていて、   厚みのある落ち着いた   優しい声が機械越しに   聞こえて、安心している   自分が居る。   この人物については特に   説明なんていらない。   ただ昔から僕の側に居て、   色々と世話を焼いてくれる   執事的存在。   僕が一番   信頼を寄せている存在。   ただそれだけだ。   歳はそう変わらない。   英国の帰国子女で、変人。   そして…超人。  『どうかなさいましたか?』  「今からすぐに調べて欲しい   ことがあるんだけど」  『ふふ、嫌なことでも   ありましたか?』  「そんな事は良いから!   今から言う人のことを   根刮ぎ調べあげてっ!」  『――承知しました。』   狡いでも、性格が悪いでも   何だって言えばいい。   僕は完璧で居続ける為なら   手段は選ばない。   こんなのやり過ぎだと思う   人は少なからず居るだろう   けど、人間なんて千差万別   であるべきなんだから、   どうだって良い。   僕はただ―――  ”返して…っ、ねぇ、ゆうり   …私にあの人を返して…!   貴方のせいよ、全部全部   貴方が居たせいよ……っ“   誰かから必要とされたい   だけなんだから。   ううん。   特定の人に必要とされて   いれば、それだけで僕の   人生は満たされていくんだ
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