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「せいおにいちゃん、うわさって?」
「あの人達、天使らしいんだ」
「てんし? ほわー、すごい! はねがあるのかな?」
テトラの瞳が俄然キラキラとしだす。
それはまさに新しいおもちゃを見つけた子供のソレだった。
「そう、翼を持っているらしいんだ。説法を始めるときに、説得力を持たせるために天使になるらしい」
「へぇー、すごい!」
「なぁ、セイにーちゃん。説法ってなんだ?」
エンタの問いに、セイは呆れたようにため息を付く。
「説法っていうのは、神様を信じてくれるように話すお話のことだ。……まったく、テトラはともかくエンタ、お前は知っていろよ。ネールさんが時々やっているだろう?」
「ああ、アレのことかー。でも、いつも人いないよな?」
そう、ネールが管理する教会――孤児院も営んでいる――でも、時々やっているのだが、いつも来るのはほんの数人だ。
「皆神を信じていないんだからしょうがない。だが、それも今日で終わる」
「なんで?」
「あの人達が来たからだ。あの人達が来ると、その町の人全員神を信じるらしいんだ」
「ほわー! すごいね!」
「だから、その理由を知りたい。噂を信じているわけじゃないけど、その、皆を納得させる方法とやらをおがもうと思ってね」
「セイにーちゃんって、色々考えてるんだなー」
「だねー」
テトラとエンタからの素直な賞賛にセイは頬を染めると、一つ咳払いをした。
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