第二章 容疑者

41/47
前へ
/327ページ
次へ
  「はい。かなり大声で口論していたそうです。ですが、数分で聞こえなくなったと」 「そうですか……」  不確定要素は多い。  だが、今は目撃者の沖田から詳しく話しを聞き。似顔絵を作成し、その女性の特定する事が最優先だった。  それで事件が進展すれば、それに越した事は無い。仮にその女性が、事件と関係なかったとしても。野口の足取りの手掛かりにはなる。 「後は、酒出警部補に期待するしか無いですかね……」  柿崎は、周囲に聞こえないように呟いた。  それ程までに、彼は追い詰められていた。捜査方針に対し、迷い苦しんでいるのであろう。  ただ、捜査員が陰で不満の声を漏らしたり、疑念を持って捜査にあたる人間が少ない。  それは、柿崎の人柄と実績があるからであった。      
/327ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2671人が本棚に入れています
本棚に追加