第二章 容疑者

42/47
前へ
/327ページ
次へ
            5    その女性は、すぐに特定された。  勝田台駅の路地裏で、野口と言い争っていた女性。それを通報した沖田の協力により、似顔絵が作成され全捜査員に配布された。  遺体発見現場や、勝田台の目撃現場周辺での聞き込みの結果。勝田台駅周辺で、知人に似顔絵の女性に似ていると証言が得られた。  その証言を元に、捜査員が動いた。  大槻 有実 二十八歳。  JR津田沼駅の近隣にある、学習塾で事務員をしている独身女性。  住所は、言い争いの目撃現場から。徒歩で数分の場所にあり、捜査員が急行したが不在だった。そこで、津田沼の学習塾へ急行する。 「大槻 有実さんですね?」 「はい、そうですが……」  突然の警察の訪問に、有実は戸惑った。だが、素直に事情聴取に応じた。  県警の刑事も、参考人と呼べる段階では無く。任意同行はさせなかった。あくまでも、事情聴取である。
/327ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2671人が本棚に入れています
本棚に追加