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「申し訳ありませんが、今の話しを署の方で詳しく聞かせてくれませんか」
「それって、任意同行って事ですか?」
「えぇ、そういう事になります」
「何ですか? これは、何かの事件の捜査って事なんですか」
「まぁ、その辺りも署の方で詳しくお話しますよ」
有実は、任意同行に素直に従いかけて足を止めた。
二人の刑事は、有実の逃走に備えて密かに身構える。
だが、有実は逃走などしない。
ただ、バッグに手を突っ込むと、携帯電話を取り出した。
「ちょっと、何を?」
「電話ですよ。見ればわかりますよね。それとも任意同行の時には、電話してはいけないとでも言うんですか?」
「いや、そんな事は言わないが」
これから任意同行されようとしているのに、臆する事なく電話しようとする。これは大したタマだが、刑事は別の事を考えていた。
弁護士でも、呼ぶつもりではないか。
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