第三章 殺害動機

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            1    千葉北警察刑事課。  三人の刑事が、それぞれ好き勝手な行動を取っている。  酒出警部補は、定位置である応接セットのソファーに身を置いている。そこで、右手の人差し指をこめかみに据えて。そこを、弾くというルーティーンを続けている。  その様子からして、未だ事件の本質に辿り着いていないようだ。  彼の指が、それを語っていた。一定のリズムを刻んでいるが、推理が進行しているような軽快さが無い。それでも、それを松本刑事はうっとりとした目で彼を見詰める。 「あぁ、警部補」  時折、うわ言のように発する言葉も。その形の良い唇からならば、周囲から注意される事もなかろう。  そして、一番の問題は酒口刑事だった。  刑事課の中を徘徊老人のように、ウロウロと歩き回っては悲観してみたり。落ち込んだと思ったら、すぐに立ち直って資料に目を通していたりする。
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