長い年月

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この施設に僕は 長い間、利用している。 他に住んでいる人は 色々と訳ありらしい…。 「山田ー。風呂!」 隣の部屋を使っている 大貴くんは声を掛けてくる。 彼も色々、事情があるらしい。 それは何か分からないけど もちろん聞く気もない…。 「有難う…」 部屋の扉が閉まる時に 大貴くんは口元を上げて 笑ったように見えた。 僕の気のせいかもだけど…。 初めの頃は 人見知りが激しくて 上手く笑うことが出来なかった。 未だに僕は初対面の人だと 笑うことが出来ない。 たまに鏡に写る自分が 嫌いだから見ない様にしてる。 鏡とはありのままの 自分を写し出す物だから。 施設長に“自分の事、好き?と 聞かれたけど 僕は直ぐに“嫌い”と即答で 答えた事を思い出した。
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