第Ⅰ話:白の仮面

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 何故、こんなことになってしまっているのか…。  それは、10年前のことである。 【10年前】  当時、中学3年生だった白仮面にはちゃんとした名前があった。  白月 望夢(しらづき のぞむ)。  整った顔立ち、さらさらの黒髪、スラッとした体型。  文句なしの美少年だった。  長い髪を利用して右目を隠し、後ろで一つ結びにするのが、白仮面……白月のお気に入りの髪型だった。  白月には、大切にしている物があった。それは、手のひらサイズの白く光り輝く綺麗な丸い石であった。『白』という文字が刻まれている。  この石は、父親の形見である。白月が小学5年生の頃、父親は病死した。  死ぬ間際に、息子である白月に渡したのが、この石だった。  女子にも男子にも人気があった白月は、友達に困ることもなかった。  母親との二人暮らしだが、苦はなく平和で幸せな日々をおくっていた。  その日も、いつも通りの朝を迎えていた。
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