01

19/22
前へ
/49ページ
次へ
こないだ、おじいちゃんが死んでさ。 実家帰ったわけ。 もう顔はちがうは 名前はちがうはで 誰おまえって感じだけど、 いちおう家族として扱っていただけて それは助かるね。 帰りたくないって気持ちがあって 訃報でもないかぎり帰らないダメ娘だけどさ。 それは変わった自分を見せる恥ずかしさがあったりしてさ。 普通の人で言う 「ついに会社でえらくなって、いいスーツ着ちゃったよ! ちょっとこっ恥ずかしいぜ!」 っていうとこがさ 「ついに顔かわって、芸能人みたいな顔になっちゃったよ! だれかわかるかな?」 レベルだからさ。 書いてて笑っちゃったよ。 そりゃーはずかしいよね。 家族の中では「整形」なんてキーワードは出ないけど。 ま、顔みりゃわかるよね。 うーむ、こういうのなんていうのかな。 ほら、さわれないみたいな、腫れ物にさわるっていうの? くさいものにはふた、じゃないけどさ。 ちょっと触らないようにしてくれてるわけ。 かなり感受性が高いのよ、わたし。 感受性っていうか、喜怒哀楽? すぐ泣くし。 だから、まぁ、 娘に「あんた整形したの?!」なんて言ったら 二度と家に帰ってこないんじゃないか、って心配してるのかな。 そこまでじゃなくても ベクトルはそっち。 だから、当たらず、触らず。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加