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私は写真に写っているのが誰だか気になったが、ここからでは見えなかった。 男は立ち上がると、写真をしまってしまった。 どうやら私に見せる気はないらしい。 「やっぱりこんな小さな子にわかるはずないんですよ」 「聞いといて損はないだろ」 「まあ、そうですけど」 「それにしてもこんな小さなこども置いて出掛けるなんて不用心だな」 「そうですね」 「では私たちはこれで失礼しよう。玄関を閉めたらちゃんと鍵をかけるんだよ」 「はーい」 と、妹は右手をあげながら答えた。 男が玄関を閉めようしたので、私は、待って、と言った。 しかし聞こえなかったのか、男は扉を閉めた。 私は再び玄関を開けると、 「待ってください! 私にも写真を見せてください」 2人の男はキョトンとした顔で私がいる辺りを見つめた。
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