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月日が流れました。 妹はすっかり大きくなりました。言葉も発せられるようにもなりました。 妹は私の名前を何度も呼びました。 「かなえ。かなえ。かなえ。かなえ。かなえ。かなえ」 その度に、ママは険しい顔をしました。 そんなある日、妹はママにこう言いました。 「ママはどうしてかなえを無視するの?」 妹の問いかけにママの顔はみるみるうちに硬直していきました。 「な、なに言ってるの?」 「だってママはいつもかなえとお話しないから。かなえは――」 「かなえって言うの、やめなさい!!」 ママに怒鳴られた妹は泣き出してしまいました。 私は必死に妹をあやしましたが、ママはなにもせずに私を見ていました。
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