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それは、何だか悲しい笑みだった。 何を悩んでいるの? 何が不安なの? 尋ねたとしてもイチは、何でもない、と言うのだろう。 「七星、手繋いでいい?」 そう言って触れてくるイチの手は、ひんやりと冷たかった。 「1回500円。又はそれ相応の物。」 「後払いでお願いします。」 指が絡まる。 誰が恋人繋ぎをしてもいいと言った。 「別料金を取るよ。」 イチを睨み付けると。 「いいよ。」 ふんわりとした笑顔で返された。 こちらは了承なんてしていないのに、なんて強情なやつなんだろう。 代金に昼食を奢ってもらおう。
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