2

9/12
前へ
/124ページ
次へ
私達は昼食を取るために近くのレストランに入店した。 暫くして、わりと静かな店内で今流行りのCM曲が流れる。 「ごめん、電話でていい?」 それはイチの着信メロディーだったらしい。 私はパスタを頬張っていたので、頷いて了承した。 どうやら、女の人みたいだ。 甲高い声が機械越しに聴こえてくる。 あれだけ、女遊びはやめなさいと言ったのに。 電話を切ったあと、イチは何事もなく食事を再開した。 「イチは今誰と付き合ってるの?由美ちゃん?それともほら、文学部の、誰だっけ・・・あの可愛い教授。」 大盛りのパスタは影も形もなくなり、空っぽの皿を目にして、手を合わせる。 「明日香さんね。」 「そうそう、明日香先生。イチって来る者拒まず、去る者追わず、だよね。」
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加