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窓を開けて出掛けなかったせいで、部屋はむーんと熱気が充満していた。 イチが窓を開けて、私がエアコンのリモコンを押す連携プレーは、ものの見事に決まった。 稼働の遅いおんボロエアコンが使い物になるまで、換気をするのだ。 窓辺の風鈴がチリンと鳴った。 「最後に会ったのいつだっけ?」 「確か、成人式にも帰って来なかったから一昨年の時じゃない?」 「えー?一昨年のは流が出る式典を見に行っただけで、会ってはないでしょ。」 「そうだっけ?」 流がいないことに慣れてしまっている自分に嫌悪する。 多分イチもそうだろう。 私たちは3人で1人だったのだ。 家族同士が仲良しだったこともある。 兄弟同士も、仲が良い。 私たちが出会ったことなんて、必然なのだ。 「・・・七星。何があっても、俺たちは親友だよね?」 いつの間にかイチはベッドに寝転んでいた。 私は窓を閉めた。 「当たり前じゃん。」 ほっとしたように、イチは笑った。
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