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「聞いてたんだ。」 こくり、と頷くイチの隣に腰を下ろした。 このベッドは私のとは違い、ふかふかで気持ちが良い。 「久し振りだから、嬉しいね!」 イチは何も言わずに、ケータイに目をやった。 いつも笑みを浮かべている顔に笑みはなかった。 「嬉しくないの?」 「そんなわけ、ないよ。」 イチが後ろから抱き着いてくる。 しかし、私は気にしない。 「・・・暑苦しいんだけど。」 足を伸ばして扇風機を付ける。 あー涼しい。 イチは子供体温だから、困る。 体温だけでなく、他にも子供っぽい所があるので、遠足や体育祭の前日はよく熱を出したこともあった。 「いーじゃん。七星抱き心地良いし。」 「イチが言うと何か卑猥な言葉に聞こえる。」 私がクスクス笑うと、「煩い。ちゅーするよ。」と後ろから片手で頬を潰された。 「ひゅいまふぇん!」 こうされると、謝るしかない。
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