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「ううん。私だけ。こういうことができるから、そのすごい魔石を売って来いって」
「じゃあ『これは魔石です。何でも願いが叶う魔法の石です』って売ればいいのに」
「コレは…お母さんも勘違いしてるんだけど、魔法を使える者が干渉することによって魔力を持つの。魔法が使えない者が触れてもただの石でしかない」
「そう、なんだ…」
そっと石に触れてみる。
冷たい。
私が触れてみても、石は何も反応しなかった。
「でも、それがわかってるのにどうして売るの?」
「母と一緒にいたくない。っていうか、追い出されたからさ」
「ミリアは強いんだね」
「そんなことない。普通よ。あ、ちょっと待ってて」
なんだろう。
ミリアは路地裏から出て、大通りへと走って行った。
そして手に干し肉とパンを持って帰って来た。
「どうぞ」
「え…あたしに?いいの?ただでさえ少ないのに…」
パンは一つ。
干し肉は掌程しかなかった。
「すぐそこで買って来たの。それに食べなきゃ死ぬでしょ。明日どころじゃなくなる」
そういうと私にパンを割ってくれた。
「サンキュ」
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