魔法使いでいいよ

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「はあはあ。死ぬかと思った」 「ええ殺すつもりだった。なかなかしぶといのね」 「二度とするなよ!」 「どうかなー」 ニヤリと笑った。 嫌な汗が流れる。 「大丈夫。もうしない」 「ほんと?信用できない」 「あんたが変なことしなければなにもしない」 「最初から何もしてないんですけど」 「そうだっけ」 「うん。そういえば、ねぇ、石売ってるけど…売れるの?」 「だから売る気がないから売れないわ」 意味ないじゃないかと思う。 ふとミリアを見た。 月明かりに照らされた横顔は本当に美しくきれいだった。 私が男だったら即恋に落ちるだろう。 でも、もっと優しかったらの話だけど。 だから私はミリアに話しかけた。 優しそうで慎ましい少女だと思ったから。 それがこんなに憎たらしい女だとは…。 「くっ」 声に出てしまった。 「あら、なあに?気持ち悪い。そんなに売る気がないのが面白かった?」 「違う、違う。あ、そうだ、石ってぶつけたら火出るっけ」 「出るわけないでしょう。どこまでばかなんだか」 「じゃあどうして売ってるの、だからだれも買わないんだ」 「だから売る気がないんだって」 「ただの石なんか普通売らない」 「売って来いって言われたから、売ってるのよ」 「なにか理由があるんでしょ。売る理由もミリアが売りたくない理由も」 ミリアはうーんと唸ってから、なにか決心したように口を開いた。 「これはそうね、あなたの言う通りただの石なんかじゃないわ」 私の勘は当たっていた。 「やっぱり」
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