魔法使いでいいよ

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ミリアは少し間を置いてから口を開いた。 「魔法石よ」 「魔法…」 ミリアは持っていた袋から石を二つ取り出すと、ぶつけ合わせた。 その二つの石はキーンと澄んだ音を出して共鳴した。 「え、これって!」 「みんなコレをただの石だと思う。そんな石売るわけないのにね。金もないけど頭もないのよね、ほんと」 「そこまで言わなくても…」 「このことはあなたと私二人だけの秘密。口外無用よ」 「あ、はい」 「魔法使いでいいよ」 私の心を見透かしたように言って笑った。 「魔法少女ミリアちゃんだね!」 キッと私を睨みつけた。 一瞬にして表情が変わる。 けれど私は無視して続けた。 「魔法少女ミリアちゃんはどんなことができるの?」 足が上に上がったと思うと、私の視界は黒く塗り潰され、体は宙を舞った。 「い、痛…。何するの、いきなり!」 「ふざけた口を利くから一発お見舞いしてやったのよ」 「この暴力女!キチガイで、頭おかしくて、口の減らないばかが!」 「は…いきなり何を言い出すかと思えば」 「うっさい!あんたがいきなり蹴り飛ばしたりするからでしょ!」 「この世間知らずの何も知らないガキが!」 一瞬唖然とした。 「は…お前もガキだろが!」 「はあ?このばかたれ!」 「とんちんかん!」 「カバ野郎!」 「ナメクジで豚ゴリラ野郎!」 ミリアはわずかに口を開き、肩を震わせた。 「ミ、ミリア…」
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