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嫌な予感がした。
案の定だった。
ミリアは、近くにあった木箱やレンガ、木の枝を手当たり次第投げてきた。
「危ないじゃない!」
「うるさい。うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさーい!」
「は…」
「あんたなんかね、魔法で蛙に変えることだってできるんだからっ…はあはあ」
「そ、そんな…」
「わかったらそういう口は効かないことね」
「ふふふ。上等じゃない。いいよ、やってみなさいよ!蛙でも狸でもゾウリムシでもダンゴムシでも変えてみなさいよぉ!」
「ぐっ…」
「早く、早くやって見せてよ。できるんでしょ」
いきなりしおらしくなったと思うと、下を向いた。
「嘘。蛙とかそういうのできないけど、こういうのならできる」
私は安堵した。
結構内心焦った。
「何」
光っている石を宙に投げる。
ブワっと音をたてて炎に変わった。
「どう?感想は」
「すごいと思うよ。蛙にならなくて良かった」
「心の中ではビビってたのね」
「別に」
ミリアから視線を反らした。
「まあ、でもいつか蛙に変えてあげるから楽しみにしてて」
「楽しみにしてる。でも、本当にすごいと思う。便利だし、これで凍えなくて済む。ありがとう」
「べ、別にあんたのために出したわけじゃないわ。私の凄さを証明するためよ」
「蛙はできないけど、十分すごいと思う」
「あなたに褒められたくない」
なんだか可愛いと思った。
「何ニヤニヤしてんのよ!気持ち悪い!」
「何でもない。そういえばミリアのお母さんも魔法使いなの?」
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