全ての始まり

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そう、それこそが僕であり、僕ではない。4人目、不幸の存在。 確かに4人目は存在した。存在はしたんだ。だけど、不幸なことに生まれた瞬間に死んだ。 しかも何の運命なのか、生まれた瞬間は3人目と日にちも一緒の上に、同時刻。この時隆司さんが4人目を見に行っていたなら僕は兄たちと会うこともなかっただろう。 隆司さんは幸せな人生を歩んだだろう。でも、現実は違った。隆司さんは4人目が死んだことなんて知らない。 だから祖父は他人から赤ん坊を奪った。それが僕だ。僕は4人目の偽物でしかない。 しかも、嫌がらせのように僕を3人目に似させていった。成長して違いが出てくれば整形、整形、整形。 母親は違うのに、双子のような形、姿に隆司さんは狂ってしまった。 3人目を可愛がれば可愛がるほど、似た容姿の4人目を放っておけない。けれど、引き取るには許嫁と祖父の言いなりになるしかない。 言いなりになれば、子供たちはなんとかなっても、妻はそうはいかない。悩んでいる内に隆司さんを始め、みんな狂った。 たった1つ僕の存在だけで。 子供の時から整形ばかりで短命と判断さえされている僕のせいで。 1つの幸せを歩むはずだった家族をバラバラにしたんだ。 兄たちも隆司さんもきっと分家の娘は殺されたと思ってる。あまりのショックに、悲しみをぶつける場所がほしくて。 本当は自殺だというのに。悲しみを怒りに変えるしか自分を保てなかったんだ。 悲しい家族、不幸な家族、哀れな家族、全部全部僕のせい。 鵺「夢……泣いてるのか?誰が泣かした?」 夢「そっか、泣いてるか………誰が泣かしたんだろうね」 誰がどうするべきだったんだろうね。きっと人を殺しすぎた兄にはヤクザ以外の道はない。 それをさせたのも僕、僕は人を破滅の道にしか案内できないんだ。 ガラッ 隆「見つけた……」 夢「…………」 ああ、やっと死ねる
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