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お腹も膨れてカレーのお店を出る。僕と同じ立場である人達の羨ましげな表情が見てとれたけど、見ないようにした。というか、ご主人様に見ないように言われた。
東「若旦那、次はどちらに?」
鵺「とりあえず時間もないからな、夢の服を適当に買いたい。まだ開いているところは?」
東「奴隷を連れての買い物店となると、もう時間的に厳しいですね。ですが、若旦那がカレーを食べている間に服は用意しといて置きましたよ。センスはそこまでないので本当に適当ですが…」
鵺「ならそれでいい。夢をこの格好で普通の店に連れて行けば、俺が捕まるからな」
夢「す、すみません…」
鵺「いいんだよ。服を始めから用意してなかった俺の責任だ。まぁ、ずっと会ってなかったんで、サイズがわからなかったのもあるが」
東「あ、若旦那、適当なもんで、サイズがきっちり合うかどうか…」
鵺「多少はいい、もう帰る。早く夢を着替えさせてやりたい」
東「はい」
鵺「さっきは忘れていたが、シートベルトはしておけよ」
夢「しーと…べると……?」
鵺「やってやる」
夢「……ぅぁ…っ」
いきなり僕に近づくご主人様に少しドキッとしてしまった。落ち着かない気持ちになっている内にシートベルトやらをつけられ、すぐご主人様は離れる。
東「若旦那は意外に過保護なんですね」
鵺「夢に何かあったら溜まったもんじゃねぇからな」
夢「?」
過保護という意味も、このべると?をすることで何があるかもわからない。だけど、ご主人様が僕のためにやったことだと思うと嬉しく感じた。
「「「よくぞ帰られました、若旦那!」」」
ご主人様にべるとを外してもらって車を出ればご主人様の大きな家の門に入る。そのとたん大勢の声で帰りを出迎えられ、びくついてしまった。
鵺「うるせぇ……。行くぞ、夢」
夢「は、はい」
その人たちに言葉を返すことなく、ご主人様は歩いていく。僕も呼ばれて、はっとしてついていった。
すごい視線を浴びた気もするけど、怖くて見ないようにした。
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