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夢「お皿を割ってしまって……すみません」
鵺「どういう意味だ?」
夢「え?えっと……」
もしかして話を聞いていなかったのかな?もう一度言うべきなの……?
鵺「新人、てめぇに聞いてんだ。返事をしろ」
「は、はひっ!す、すみません…!ど、奴隷を躾ようと……」
鵺「奴隷だと?」
「え、だってみんなが噂して……」
鵺「だとしても、俺がいつ頼んだ?しかも、俺の弟を使うとはいい度胸だな?」
「お、弟!?」
いや、奴隷です。と今言えばご主人様の立場が悪くなりそうだからやめとくべきだよね。
鵺「東、こいつに罰をやってやれ」
東「はい」
あ、昨日の運転手。東さんっていうんだ。ちなみに今着ている服はこの人が買った服からご主人様が選んでくださった服を着ている。
少しぶかぶかだけど、動きやすいし、清潔感のある服だから正直文句なし。
「す、すみませんでした!もう気を付けますんで、罰だけはっ!」
うるさい男性の声にはっとする。罰とはそんなに怖いものなのかと思い、東さんに抵抗する男性を見た。そしてご主人様はそんな男性を冷たい目で見ている。自分に向けられると思うとぞっとしてしまうけど、思いきって声をかけた。
夢「ご主人様、僕も罰を受ける必要があります」
鵺「何を…」
夢「頼まれてもないことをしました。お皿も割りました。ご主人様の奴隷でありながら怪我も勝手にしました。この男性よりも受ける罰はあります」
鵺「庇うのか」
冷たい目を向けられるかと思えば困惑に似たような、でもどこか苛立った声で問われる。何も庇いたいわけじゃないけど、奴隷なんかに多少の至福をくれたこの男性を放っておけないのは事実。
それに助けてくれるのかと言った輝きの瞳で男性が僕を見ているのを見ればもう後には引けない気がする。見た感じ僕より年上だろうに、プライドをあっさりと捨てて助けられることを喜ぶほどに罰とは怖いのだろうか?
夢「いえ、違います」
その言葉に真っ青な顔になる男性。言っちゃなんだが面白い。
鵺「じゃあ何だ?」
夢「掃除と皿洗い楽しかったんです」
鵺「てめぇ、掃除までさせたのか」
「す、すみませんっ」
おお、青から白に。人の表情はこんなに面白いものなのかと思う。
東「夢様、掃除と皿洗いが楽しかったんですか?」
しっかりと男性を捕まえる東さんが僕に問う。少し戸惑いが見えるように思う。
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