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夢「はい」
でも、だからと言って奴隷が嘘をつけるわけもないから正直に言う。
鵺「……楽しんだからこいつよりも自分に罰を渡せってことか?」
不満そうにご主人様が言う。僕に罰をさせたくない様子が伺える。
夢「はい。勝手なことをしたあげく、奴隷なんかが楽しんで、僕に罰がないのはおかしいです。この人を罰にするなら僕もお願いします」
鵺「…………」
「お前、罰怖くねぇのかよ!」
東「夢様にお前とは……」
「す、すみませんっ!つ、つい……っ」
この人バカなのかと思う。あまりに救いようのない人だ。面白い(表情の)人だし、なんとなく庇おうとすれば、あまりに輝いた目で見てきたから助けようとしているのに。
夢「ご主人様、僕あの人に指導してもらいたいんです。掃除と皿洗い初めてでまだまだわからないことあるんです。それとももうしちゃだめですか?」
なんとなく、ご主人様が僕に甘いのを昨日から感じている。それはきっと弟かもしれないからだろう。
奴隷としては最低だけど、ご主人様が許す限りはしたいことはしたいと思った。それに、奴隷としての仕事はあのうるさい男性がよく知ってそうな気もする。
だから言葉に間違いはないはず。あまりキラキラとした目で見ないでほしい。さっきまで僕を奴隷として、ゴミのようにしか見なかった癖に、あれでは尊敬の目だ。
罰とか関係なく、うるさい割にはプライドは低いんだなって思ってしまった。
鵺「東、罰はなしだ」
東「はい」
「あ、ありがとうございます!」
鵺「代わりにしっかり雑用しとけ。後、夢が怪我しないようにしっかり面倒見ろ。何かあったら次こそ覚悟しろよ」
夢「ご主人様いいんですか?」
自分から願ったとはいえ、正直どことなく申し訳はないのだ。奴隷の分際でご主人様を利用しているようで。
鵺「飽きるまで好きなことをしろ。だが、指の手当てはするぞ。それともう怪我するようなことだけはするな。そういうのは全部あいつ任せにしろ。てめぇもいいな?その皿片付けとけよ」
「は、はい!」
夢「ありがとうございます!」
やっぱり優しいご主人様に頭を下げればすぐ顔をあげるように言われる。そして引っ張られる。引っ張り方にしても優しさにしてもまるで人間扱い。奴隷だというのを本当に忘れそうだ。
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