1226人が本棚に入れています
本棚に追加
ぐるぐると考えてふと手を見る。そういえばいつの間にか怪我は治っていたみたいだ。
気を失ってばかり、寝てばかりのせいか、早く治ったようにも思える。
どうでもいいことを思っていたら色々考えるのが無駄に思えてきた。奴隷なんだからご主人様が望むことを受け入れればいい話なんだ。僕が深く考える必要はない。
あまりに真っ白で気づかなかったけど、服まで真っ白だ。しかもこれはワンピース……?着なれないけど、裸よりはマシかもしれない。
それにしても鎖以外が白ばかりで頭まで真っ白になりそうだ。ご主人様は白が好きなんだろうか?
色々と考え込んでしまう。僕は考えることが好きなんだろうか?それならやめなければいけない。
好きは幸せに繋がってしまうだろうから。何も考えないようにまた寝てしまおうか、そう思ったところでご主人様が出ていった扉が開く。ご主人様が戻ってきたんだろうか?
東「夢様失礼します」
どうやらご主人様じゃないようだ。人を欲しがるなと聞いたからご主人様以外には会えないのかなと思ったのに。
一体何なんだろう?まぁ、聞こうにも話せないけど。
東「詳しい話は後程します。大声を出されても困るので猿轡はそのままで。あまり暴れないでくださいね」
夢「……?」
よくわからないままに東さんが鍵で僕についた鎖を全て外す。ご主人様が東さんに命令したのか、それとも東さん自身の行動なのかよくわからない。
鎖を外し終われば抱き上げられる。別に歩けないことはないのに。
そう思っていたら東さんは真っ白な部屋から出たとたん走り出した。どうやらここは地下だったようで階段をかけ上れば、見たことのある場所。ご主人様の屋敷の中。
東さんはそのまま走って外を出る。その間ご主人様もいなければ、その他の人もいなかった。いや、2、3人いたけど、倒れていた。
何となく東さんがやったのだろうと察しがつく。あーあ、考え事をしないようにしていたのにいきなりのことに追い付けなくてついつい考えてしまう。
こればかりはどうしようもないのだろうか?なんて呑気に考える僕はあまり重要性がわからない。
車に乗せられては、どこに向かうのか車が発進する。そして僕は頭の片隅でひっそりと思った。誘拐なのかなと。
最初のコメントを投稿しよう!