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-by.鵺燈-
鵺「探せっ!もし夢に何かあったらてめぇら死を覚悟しやがれ!」
夢が消えた。俺が料理を作っている間に。1週間点滴だけだった夢はお腹が空いているだろうと思ったから。
他に作らせてそれを夢に食べさせるのは嫌だった。それだけじゃない。夢が誰かに話すのも、触れるのも、何をするにも許せなくて、全て俺がしようとしたのが間違いだった。
胃に重くないだろう雑炊を持っていこうとすれば、倒れている部下たち。慌てて夢を閉じ込めた部屋に行けば外された鎖。いない夢。
絶望感に襲われ、倒れていた部下を1人殴って事情を聞けば東の仕業と判明。1番優秀であった部下の裏切り。
信用なんて誰もしちゃいない。夢さえいれば他の人間はただの駒に過ぎないから。
その駒が夢を誘拐したのだとしたら俺はなんて馬鹿なのだろうか。夢を誰も知らない場所に閉じ込めなかったことに後悔した。
こんな組潰れてもいい。旦那には恩があるが、今は俺の継いだ組。どうなろうと関係はない。
俺は夢さえいればいい。ああ、夢がいなくなる前に気づかなかった自分が憎たらしい。
夢、必ず見つけてまた閉じ込める。次は誰もいない場所で。
勿論その前に夢を拐うことに協力した人物には地獄を味わす。だから待ってろよ、夢?
俺が必ず見つけてやる。
鵺「とりあえず、役立たずは死ね」
「ひ……っ若旦那……っ」
「い、いやだぁあぁぁ」
バンバンッ
銃で撃たれて飛び散る血。死ぬ覚悟さえないヤクザ……見ていて呆れる。
夢を守れなかった代償は高い。そして死をも覚悟できない人間はヤクザなんてやってんじゃねぇ……。
ああ、それでも夢は別だ。
鵺「夢は死ぬ覚悟なんていらない……」
死に怯えて俺にすがればいい。だってよ、俺を頼る夢なんて考えただけで可愛いだろ?
夢だけは殺させない、殺さない。守り抜く。
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