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どうにかって……それに僕なんかをご主人様が探して……?それなら僕は……。
夢「戻らないと…」
泉「だめだよ。君が奴隷意識をどうにかしない限り、水無月組は崩壊してしまう」
夢「それでも僕はご主人様に捨てられるまで奴隷として過ごします」
泉「……次男は君を絶対に捨てない。あの日、俺は見ていたからわかる」
夢「………」
あの日?何を言っているかもわからない。この人は本当に夢の人なのだろうか。似てはいるけど、それだけなんじゃないのかな?
東「夢様、お願いします。本家を崩壊させるわけにはいかない、分家は本家なくしては生きていけないのです!」
本家?分家?何故、奴隷の僕に頼むの?ご主人様あなたの望みを叶えるだけが奴隷ではないんですか?
泉「東、何も説明なしに言っても意味はない。夢、君は人間だ。奴隷なんてものはない」
夢「それは嘘です。僕は見ました。たくさんの奴隷を。」
奴隷がないのならあの人たちをどう説明する?僕は奴隷。たった一人、奴隷から人間になるなんて認められない。
泉「そうか……。相変わらず夢は優しい。そしてそれだけに残酷だ。平等の優しさは犠牲も出るからな」
夢「ぎ…せい?」
泉「夢が奴隷であり続ける限り、傷つく人がいるということだ」
夢「何故ですか?」
泉「大切だからだよ」
大切?奴隷が?僕はわからない。大切ならなんで、なんで………………なんで?
僕は何がなんで、なんだろう?
夢「なんで………」
東「夢様?」
夢「助けてくれなかったの?」
泉「!」
僕は何を言っているの?僕は………何を何を何を?
夢「いやだ!僕は知らない知らない知らない!兄弟なんていない!いらない!あ゛ああああっ!」
泉「夢!」
夢「夢?僕に名前なんてない!名前をつけてくれる人なんて……う゛ああっ!なんでなんでなんでなんで!」
【たすけて】
夢「消えろ消えろ消えろ!」
【とてもいたい】
夢「痛くない痛くない痛くない!」
【むねが、ちくちくいたむの】
夢「違う違う違う!」
【おにいちゃん、さみしいよ】
夢「あ゛あああああ」
【ぼく……ひとりになりたくなかった】
夢「言うなぁあぁぁ!」
【おいだすなんて……しなきゃよかった】
それは兄に不幸になれという悪の言葉。それでも僕は………。
寂しかった。
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