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-by.鵺燈-
鵺「東から?」
中々見つからない夢に、苛立ちが限界に近づいたところで東から連絡が入ったと部下が言った。
何を考えているのかわからない。俺から奪いたいものがあるならいくらでも奪わせてやる。
だが、夢だけは、夢だけは許すことはできない。夢を奪おうとする奴には地獄を見せたっていい。
今だって1人、夢に会いたがった新人には生き地獄を味あわせろと他の奴にまかせている。まぁ、まだ無理に会わなかっただけ始末はしていないが。
だが、東……お前とその関係者は生き地獄だけじゃ済ますつもりはないぜ?俺が直々、殺してやる。楽な死に方なんてさせねぇ。
鵺「鵺燈だ。てめぇ覚悟はできてんだろうな?」
東『鵺燈様とんだ無礼を申し訳ありません』
鵺「許すつもりはねぇ……。なんで夢を誘拐した?」
東『泉様がそうするように申したからです』
鵺「泉?」
どこかで聞いた……そんな名前だ……。確か、水無月家の分家……。
東『……貴方も知っている。分家の当主です。』
鵺「なんでその分家の当主が夢を拐う?」
分家の当主なんざ会ったこともない。気にしたことさえも……だから恨みを買ったりする理由もないはずだが……。
東『それは直接お聞きになるべきかと……。夢様は今気を失っています』
鵺「気を?てめぇ、何しやがった……」
東『何かをしたと言えば説得です』
鵺「説得?」
東『はい。泉様は、鵺燈様に見つかる前に、夢様から奴隷意識をなくそうとしていました』
奴隷意識が夢からなくなるなら、いいことだ。だが、それを何故分家の当主がしようとする?恨みを買っているわけではないのか?
いや、待て……東は裏切り者だ。騙そうとしている可能性もある。
鵺「仮に説得をして何故夢が気を失う?」
東『それも泉様から直接聞くべきです。そういうことで分家まで来てくださいますか?泉様を鵺燈様はよく知っている人ですから安心してください。まぁ、信用されないでしょうが。部下をお連れしてもかまいません。話を聞いていただけるなら』
鵺「………いや、1人で行く」
東『1人で?それはさすがに……。分家に来るまでは部下と共に来てください。鵺燈様はいつ狙われるかわからぬ身なのですから』
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