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言葉に敵意は感じない。俺は冷静さに欠けていたのかもしれない。
東の言葉で少し落ち着いた気がする。敵意があるなら、1人で行くことに賛成してもいいはずだからだ。
もしかするとこれこそが罠の可能性もあるが、どう聞いても毎回俺を心配をするときの声と一緒だった。東もバカではない。理由なく夢を拐うことはないだろう。
それに、若旦那と呼ばす鵺燈様と呼ぶことにも訳があるのかもしれない。まずはとにかく行かなければ。確かに分家まで捜索にはあたっていない。
鵺「今すぐ車を出して水無月家分家へ急げ」
「は、はい!」
例え勘が外れて罠だとしても夢がいる可能性があるなら、行かなければいけない。もう夢がいないのには耐えられないからな。
鵺「夢……早く会いてぇよ」
今なら昔とは違うんだ。今なら、今なら夢に優しくできる。
だけど夢、お前がいなきゃ優しくなろうと意味がない。俺は優しくなる努力をした。俺は自分を抑えないばかりに、お前の優しさに甘えてしまったから。
だから、今こそお前が甘えていいんだ。甘えさせてもらった分を返してやる。
返してやるから………甘えても俺を憎んで殴ったっていいから……自分を下に見るな。人生を諦めるな。
鵺「全部俺のせいってわかってんのに……」
夢の幸せを諦めきれない。俺が幸せにしたい気持ちをなくせない。
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