1226人が本棚に入れています
本棚に追加
-by.泉-
父さん、俺は知ってる。復讐でしか生きられなくなった父さんが一番辛いこと。
俺のせいで傷つけてしまっていることも。本当は優しい父さん。
それは壊したのは父さんの父さん。俺にとっての祖父。
大嫌いな祖父なのに俺は頼ってしまった。あの祖父を。俺も父さんの復讐相手になってしまうんだろうか。
……なんてことは考えても無駄か。父さんはきっと復讐なんてものしたくないのだろうから。
知ってるんだ。俺達の名前を書いた紙を隠してたこと。きっとあれは父さんと俺の母さんが決めた名前。
泉、鵺燈、夢………名前が決めてあるのに言わないのは復讐が済まないから。それに鵺燈と夢は復讐相手の1人の子供だからだろう。
きっと俺が鵺燈にあの時願わなければ、俺にとって望まない形で名前を決められたはずだ。
復讐の終わりは鵺燈と夢も不幸で終わるということ。それは俺が嫌だ。それで名前をもらうなんて。
泉「………生きてたのか」
鵺燈と会ったから夢は無事だろう。それなら死んだってよかったようにも思う。
きっと、鵺燈と夢には真実を話さなきゃいけないだろうから。もう隠し通すことは難しい。
鵺「………兄貴…」
泉「鵺燈……。夢は?」
鵺「まだ寝てる。兄貴に気になることがあってな」
泉「………勘のいい奴だな」
鵺「………」
泉「DNA調べたんだろ?」
鵺「ああ」
泉「夢が起きてから話す」
鵺「…わかった……」
鵺燈のことだ。さすがに分家当主だった俺、本家当主にされた鵺燈ってところで気になったことがあったんだろう。
偶然で兄弟が同じヤクザの本家と分家、違うとはいえ、誘われるのはおかしいからな。
もう真実についても調べがついていながら、俺に聞いたんだろう。優しい奴だ。
夢が自分を奴隷であることを譲らないのは少なからず俺も原因なのに………。
泉「俺はだめな兄だな…」
最初のコメントを投稿しよう!