僕は奴隷で弟らしい

全ての始まり

－by.鵺燈－

頭が混乱している。兄貴だと思っていたはずの人が半分血が繋がってない事実に。

最初は何かの間違えだと思っていたのに兄貴は…………。知っていながらずっと黙り続けていたのか？それとも、何か理由が……。

鵺｢くそ……！｣

兄貴のことだから、何か理由があるとは思うのに、黙られていたことにイライラする。夢はこれを知ればどう思うだろうか？

………何も思わないのだろうか。

自分は奴隷だと突き通す夢と、血の繋がりが半分であった兄貴。

もうどうしたらいいのかさえ考えるのが面倒だ。だが、考えるのをやめてしまえば２人を見捨てるのと同じ。

兄貴も大事だが、夢を二度も見捨てたくない気持ちが大きい。夢は知らない、俺が変わったきっかけが、夢であることを。

夢が目を覚ましたらまずは俺のことを全て話そう。今までどう思ってきたか、夢から離れて何をしてきたのか。その後に兄貴の話を聞いても遅くはない。

話すことで何が変わるわけではないが、少なからず変化は合ってほしいと思う。でなければ、また監禁でも起こしそうで怖い。

兄貴を見つけたからか、今は監禁しようなんて衝動はないが、いつ出てくるかはわからない。俺はもう夢に依存しきっている自覚があるから。

多分兄貴も気づいているんだろう。だから夢を誘拐したんだなとなんとなく思うが、血が半分しか繋がっていないこと、自らを隠し続けていたことから断定はしにくい。

本当はもっと違う理由があったんじゃないか？そう思ってしまうからだ。

疑いたくないのに疑ってしまう自分が心底許せない。ああ、早く夢に会いたい。

夢の病室はすぐそこだ。