主人は兄?

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何もいれられたこともない場所。もしかしてこの人は挿入するつもりでいるのだろうか。そういえば父が言っていた。 【男はなぁ、ケツの穴にいれるんだとよ。だが、俺は完全にそっちにいく気はねぇ。ま、どっちにしろ、お前はいつかヤられるだろうな】 それで男同士のやり方を知ったのをすっかり忘れていた。まるで最初から知識を持っていたみたいに。でも父の最後の言葉は最初から売るつもりだったってことだよね。 「はぁ…はぁ…いれるよ?」 まぁ気づいたところでどうしようもないけど、やっぱり怖い。震えが止まらないし、こんな奴にヤられるのだって至福のはずないっ! 相手のものが当たる。嫌だ、嫌だ、嫌だ!誰か、誰か助けて………っ! バンッ 「な、なんだ!?」 「水無月様!困ります!」 「この豚が…っ!退け!」 「ぐふ…っ」 「さ、佐々木様!?」 目の前の太った人が一瞬にして消えた。その瞬間、穴に当たっていただけのも消え、安堵から涙が出る。 僕にまだ涙があったのか、そんなことを思う。小さい頃から暴力ばかりの生活だから、涙なんて出す方がおかしいと思い、泣くことさえできなくなったと思っていたのに。 それほどに恐怖を感じてしまっていたのだろう、僕は。助けだって初めて求めた。 「大丈夫か!?この痣は…てめぇか?豚野郎!」 「ひぃぃ…っち、違います!」 「水無月様、佐々木様は性を目的としますが、暴力をするような方ではありません。それにいくら水無月様でも、これでは店への迷惑行為となります。お二人がどういう関係かは存じませんが、すぐにここから出て行ってください。今、佐々木様は見定めをされているのです。」 「なら、俺がこいつを買う。見定めより買う側が上だろう」 「な……っわ、私だって…」 「あ?」 「な、なんでもないです…」 「まぁ買われるんですか!ですが、高いですよ?この子を売った人の借金は」 「構わない。全財産出してもいいくらいだ。」 この人は一体何を言っているんだろう。助けてくれただけでなく、見定めもせず、僕を買おうとするなんて。 でも、あんな人に抱かれるなら、まだこの人の方がいいななんて思う。挿入が怖くても我慢できそうだ。
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