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ああ、そうか……。あんなことがあったからこそ、お兄ちゃんは僕を捨てないと信じられるからかもしれない。
結局僕は、寂しかったんだ。だからお兄ちゃんを理由に忘れて書き換えたに違いない。
あれ?でも……それなら僕はお兄ちゃんにされたことを嫌には思ってなかった…………?
夢「お兄ちゃん……僕…」
鵺「ん?どうした?」
夢「どうしたら……わかんない、わかんない……」
鵺「夢?」
僕は最低な考えに辿り着いた。兄を好きだという事実に。だめだ、それだけはだめだ。
本当に何で今になって思い出したんだろう?僕は忘れて奴隷と思い込むだけでよかった。
こんなことなら、計画なんて………どうでも……。
あれ……そうだ……計画がうまくいかなかったのは僕だけじゃない。なら、もしかしたら………。
夢「お兄ちゃん!逃げて!殺されちゃう!」
鵺「夢、落ち着け!どうした!?」
夢「お兄ちゃんに殺されちゃう!」
鵺「夢、何を……」
ガラッ
開いたドアをすぐ見れば僕がずっと恐れていた存在が目の前にあった。
泉「夢」
夢「いやっ来ないでっ」
怖い怖い怖い!あのお兄ちゃんはどっちのお兄ちゃん?今は昼?夜?夕日がもう少しで沈むのはどちらに当たるの?
お願い、お願い、昼のお兄ちゃんで………いて!
泉「やっぱり気づいてやがったか。いや、記憶が戻ったと言えばいいか?」
鵺「兄貴……?」
夢「お兄ちゃん……っ逃げよう、逃げたい」
あれは怖いお兄ちゃんだ。怖くて怖くてお兄ちゃんにしがみつくけど、お兄ちゃんはよくわかってない。
それもそうだ。僕だって始め知った時は驚いたから。お兄ちゃんが………
泉「びっくりしたか?おれはなぁ、二重人格とか言うらしいぜぇ?」
そう、二重人格だったなんて。
鵺「二重人格……?」
泉「昼がお前らの味方の兄なら、夜は父の味方の長男ってわけだよ。夢、お前知ったから俺と鵺燈を追い出したんだろ?なにする気だったか知らねぇが残念だったなぁ……記憶をなくしちまうなんて。まぁ俺が思った通りってわけだ。」
夢「まさか………まさかまさかまさか……!」
泉「今更気づいたか?ま、鵺燈は記憶を綺麗に書き換えたみたいだがなぁ」
お兄ちゃんが僕にあんなことをするなんて……とは思ってはいたけど、まさか夜のお兄ちゃんが仕組んだことだったなんて……。
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