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鵺「別にお前に怒ってねぇよ。自分を奴隷と認めてしまう前に助けられなかった自分に苛立ってんだ。」
それでも原因は僕にある。
「すみません…」
鵺「謝るな。それより、お腹が空いてるんだろう?食べたいものはないのか?」
「食べたいもの…?僕は奴隷です。だから、それはご主人様が決めることでは…」
鵺「ない。だからお前が決めろ」
ああ、そうか。ご主人様は僕の食べたいものを目の前で食べる気なんだ。奴隷だもん、我慢強くならなきゃ。
「カレーです」
鵺「カレーか……。好きなのか?」
「食べたことはありません。でも食べることが夢です。」
鵺「クックッ……カレーを食べることが夢とは初めて聞いたな。おい、東、カレーの店に行け」
東「はい」
車を運転してる人にご主人様が言う。本当にカレーを食べに行くんだ。それに店って言った。これが世に言う外食というものなのかな?
「外食というのをするんですか?」
鵺「初めてか?」
「はい、外食も夢です。僕、学校から家までしか外を出歩いたことはなかったので」
鵺「……そうか。他にはどんな夢があるんだ?」
「ふわふわのぬいぐるみをサンタさんからいただくことです!僕はいい子ではないから、諦めてるんですが、夢は夢ですから」
鵺「いい子だよ、おめぇは」
「でも、サンタさん…」
鵺「サンタはな、うっかり屋なんだ。今年は来るだろうよ。俺が言っといてやる」
「サンタさんと知り合いなんですか!?」
鵺「クックッ…まぁな。恐らく名前がないから届けられなかったんじゃないか?いつも名前変わるんだろ?」
「はい…。じゃあ、ずっと同じ名前がないともらえないんですか?」
鵺「そうだな」
「まずは一生の名前作りを夢にします」
鵺「なら、今叶うな」
「え?」
鵺「お前は水無月…夢だ。」
夢「夢……。夢ですね!」
水無月夢が僕の一生の名前。これでサンタさんが……っ!
夢「あ、でも、奴隷でも来ますかね…?僕、人間以下なのに…」
鵺「俺の弟だから来るだろ。サンタが、お前は奴隷じゃないって証明するさ。それまではどう思おうが、お前の勝手だ。だが、あくまで俺は夢を弟として扱う」
サンタさんが……プレゼントをくれたら、奴隷じゃない。不安だな…。
鵺「それで?夢はなんでサンタからぬいぐるみがほしいんだ?」
夢「ふわふわのぬいぐるみです。」
鵺「ああ、ふわふわな」
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