NEW GAME

2/20
前へ
/200ページ
次へ
「登録完了。ゲームネーム、『タイト』。『RED(レッド)』にようこそ。」 俺は、その一言で目が覚めた。 太陽の光が穏やかにさす、だだっ広い草原だった。 果てしなく続くそれは、その先に何も無いのではと俺を不思議な孤独感に苛ませる。 目の前にいる青年は銀髪にサファイア色の瞳で、一瞬聞こえた声はひどく冷たい、というよりは機械的だった。 それよりも問題がある。ここは一体どこで、俺はなぜここにいるのか、だ。 「ここは……どこだ?」 「『RED』の内部です」 またしても抑揚の無い声。まるで機械がしゃべっているようだ。 「『RED』って……?」 「『Return Earth or Delete』の頭文字を取って『RED』です。あなたはこのゲームのプレイヤーに登録されました」 淡々と説明するが、何を言っているのかさっぱり分からない。 「ゲーム……だと?」 「一言で申せば、ここはコンピューターゲームの中です」 …………は? 「……何を言い出すかと思ったら、お前おかしいんじゃないか?」 「言語機能等、エラーは検出されていませんが」 どこまでも無感情な言い方に、俺はだんだんと腹が立ってきた。 「エラーって、お前は機械かなんかか?バカにすんなよ」 「はい、そうですよ。私はゲームプレイヤー様の『チュートリアル』です」 「チュートリアル……!」 それはRPG(ロールプレイングゲーム)の最初に存在する、プレイヤーにゲームの進行方法を教えるための講座の名称。 だとしたら、ここは本当にゲームの中なのか……? 確かに青年の声はかなり機械的だが……。 「とりあえずここがゲームの中だとして、なんで俺はここにいるんだ?」 「あなたが登録したからです」 「……いつ?」 「昨日の夜8時頃です」 「昨日……?」 俺は記憶を必死に手繰り寄せる。
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加