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「登録完了。ゲームネーム、『タイト』。『RED(レッド)』にようこそ。」
俺は、その一言で目が覚めた。
太陽の光が穏やかにさす、だだっ広い草原だった。
果てしなく続くそれは、その先に何も無いのではと俺を不思議な孤独感に苛ませる。
目の前にいる青年は銀髪にサファイア色の瞳で、一瞬聞こえた声はひどく冷たい、というよりは機械的だった。
それよりも問題がある。ここは一体どこで、俺はなぜここにいるのか、だ。
「ここは……どこだ?」
「『RED』の内部です」
またしても抑揚の無い声。まるで機械がしゃべっているようだ。
「『RED』って……?」
「『Return Earth or Delete』の頭文字を取って『RED』です。あなたはこのゲームのプレイヤーに登録されました」
淡々と説明するが、何を言っているのかさっぱり分からない。
「ゲーム……だと?」
「一言で申せば、ここはコンピューターゲームの中です」
…………は?
「……何を言い出すかと思ったら、お前おかしいんじゃないか?」
「言語機能等、エラーは検出されていませんが」
どこまでも無感情な言い方に、俺はだんだんと腹が立ってきた。
「エラーって、お前は機械かなんかか?バカにすんなよ」
「はい、そうですよ。私はゲームプレイヤー様の『チュートリアル』です」
「チュートリアル……!」
それはRPG(ロールプレイングゲーム)の最初に存在する、プレイヤーにゲームの進行方法を教えるための講座の名称。
だとしたら、ここは本当にゲームの中なのか……?
確かに青年の声はかなり機械的だが……。
「とりあえずここがゲームの中だとして、なんで俺はここにいるんだ?」
「あなたが登録したからです」
「……いつ?」
「昨日の夜8時頃です」
「昨日……?」
俺は記憶を必死に手繰り寄せる。
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