NEW GAME

4/20
前へ
/200ページ
次へ
「……オイ、出せよ!このゲームを俺は棄権する!だから帰してくれよ!!!」 「それはできません。このゲームに登録された時点でゲームクリアかゲームオーバー以外でここから脱出する方法はありません」 「そんな……!?」 脱出……不可能……!? 俺は……こんな理不尽な死のゲームに囚われたってのか! 「では続いて、アイテムの使用方法についてです」 考えていてもらちが明かない。とにかく生き残らないと。 「このゲームのアイテムは、ほとんどがカードの形をしています。例えばコレです」 どこからか一枚のカードを取りだし俺に渡す。 『ブロンズソード』と書かれている。 「それは『武器(ウェポン)カード』です。この世界のあらゆるアイテムを使用する際には、《ユーズ(使用)》と唱えます」 「ゆ、ユーズ……」 カードが独特の音とともに変化し、絵の部分に書かれていた赤銅色の刀身を持つ片手剣になった。 「武器カードの場合、耐久値が残っている限りもとのカードに戻すことができます。その場合は《シーズ(収納)》と唱えてください」 「……シーズ」 さっきよりは高音の効果音で、剣はふたたびカードに戻った。 「カードは、カードホルダーに40枚まで、カードバンクには何枚でも預けることができます。ただ預けるのには金庫代が必要です」 彼は俺の右足を指さす。たぶん「カードホルダー」なるものが太ももに巻かれていた。 「では最初の武器を一枚だけプレゼントいたします。 『ソード』『ランス』『アックス』『ガン』『ナックル』『ビースト』のどれになさいますか?」 「………『ソード』で」 何か意味があったわけではない。覚えていたのが最初のこれだっただけだ。 「では、現在あなたが所有している『ブロンズソード』をそのままお渡しいたします」 そのとき、警報音が鳴った。 「緊急ミッションを発令します。ミッションNo.001。『Code:Escape』を使用し、戦闘区域より退避せよ」 「コード、エスケープ……?」 「白い鍵の形をしています。それを発見しユーズと唱えてください」 そして、いきなり俺に敬礼する。 「あなたの健闘を祈っています」 突如、俺の体を光が包む。その眩しさに目を閉じ、再び開いたとき……。 俺は地獄に足を踏み入れていた。
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加