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「……オイ、出せよ!このゲームを俺は棄権する!だから帰してくれよ!!!」
「それはできません。このゲームに登録された時点でゲームクリアかゲームオーバー以外でここから脱出する方法はありません」
「そんな……!?」
脱出……不可能……!?
俺は……こんな理不尽な死のゲームに囚われたってのか!
「では続いて、アイテムの使用方法についてです」
考えていてもらちが明かない。とにかく生き残らないと。
「このゲームのアイテムは、ほとんどがカードの形をしています。例えばコレです」
どこからか一枚のカードを取りだし俺に渡す。
『ブロンズソード』と書かれている。
「それは『武器(ウェポン)カード』です。この世界のあらゆるアイテムを使用する際には、《ユーズ(使用)》と唱えます」
「ゆ、ユーズ……」
カードが独特の音とともに変化し、絵の部分に書かれていた赤銅色の刀身を持つ片手剣になった。
「武器カードの場合、耐久値が残っている限りもとのカードに戻すことができます。その場合は《シーズ(収納)》と唱えてください」
「……シーズ」
さっきよりは高音の効果音で、剣はふたたびカードに戻った。
「カードは、カードホルダーに40枚まで、カードバンクには何枚でも預けることができます。ただ預けるのには金庫代が必要です」
彼は俺の右足を指さす。たぶん「カードホルダー」なるものが太ももに巻かれていた。
「では最初の武器を一枚だけプレゼントいたします。 『ソード』『ランス』『アックス』『ガン』『ナックル』『ビースト』のどれになさいますか?」
「………『ソード』で」
何か意味があったわけではない。覚えていたのが最初のこれだっただけだ。
「では、現在あなたが所有している『ブロンズソード』をそのままお渡しいたします」
そのとき、警報音が鳴った。
「緊急ミッションを発令します。ミッションNo.001。『Code:Escape』を使用し、戦闘区域より退避せよ」
「コード、エスケープ……?」
「白い鍵の形をしています。それを発見しユーズと唱えてください」
そして、いきなり俺に敬礼する。
「あなたの健闘を祈っています」
突如、俺の体を光が包む。その眩しさに目を閉じ、再び開いたとき……。
俺は地獄に足を踏み入れていた。
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