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WD…楔夜
「はい、白雪」
そう言って彼女に小さな箱を渡す。彼女はちょっと不思議そうな顔をしながら尋ねてくる。
「なにこれ?」
俺は小包を指でトントンと叩き、中に何が入ってるか説明する
「ん?ホワイトデーのお返しのクッキー。チョコにイチゴに紅茶、カボチャにバター…あ、抹茶も作ったけど苦いの平気だった?」
「え、作ったの?」
質問に質問で返され苦笑いし、そうだよと頷いて答えれば彼女は感心したように言う
「楔夜って何でも出来るのね」
「いや、俺は出来る事しか出来ないよ」
そう、完全無欠だと自負してきた俺だけど1つだけ手に入らないモノがある
「…難攻不落の城ほど落としがいがあるって言うけどねぇ」
彼女は俺の独り言の意味が分からないのか不服そうな表情を浮かべいる。そんな彼女の手を取り、手首に口付ければニヤッと笑う。
「さて、手首へのキスはどんな意味だったっけ?じゃあ、また後でねぇ」
誤魔化すように茶化して言えば、そそくさと逃げるように彼女へ背を向ける。手首へのキスは欲望。
ただ君だけを欲す。
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