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サイドボードにある携帯に
自然と手が伸びた
携帯を握り締めて
頭から布団を被る
頭ではだめって分かってる
だけど身体は正直で
指が勝手に操作を進めてく
気付いたときには
通話音が耳に響いてた
我に返って、慌てて通話を
切ろうとしたとき
聞こえてきたテノール音
『……もしもし、知念?』
「…っ/」
寝ていたのか
はっきりしない言葉達
だけど確かに聞こえたのは
僕の大好きな人の声
僕から電話したのに一言も
発さないから
電話の向こうの彼は
ずっと僕を呼んでる
早く何か言わなきゃ…
「…っ、…ごめ/」
やっと出た言葉は
謝罪の言葉
本当は言いたいことが
あるのに頭のどこかで
ストップがかかってて、
言葉にならなかった
“逢いたい”
素直に言っちゃえば
いいのかもしれない
だけど僕達より多忙な彼は
明日も1人だけ仕事
僕の我が儘で彼の貴重な
時間を奪う訳にいかなかった
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