第1章

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9人のみの練習がスタートし、予選大会の抽選の日を向かえた。 良太はマネージャーの山戸彩加(ヤマトアヤカ)を連れ、抽選会場へとむかった。 埼玉県大会は7回の勝利で甲子園大会の切符を手にすることができる。その間、1回の負けも許されない。 今年の有力校は、春の選抜にも出場の明秀学園高校と、惜しくも明学に敗れた須磨高校の2校のどちらかといわれている。 良太が引いた場所は、準決で須磨高校、決勝で明学と当たる場所だった。 初試合が始まるのを良太は待ち切れなかった。 学校へ帰るとすぐに小池が顔をニヤつかせながら聞いてくる。 「菊池!お前いいとこ引いてきただろうな?」 小池はお調子者で、女子には積極的にアプローチを仕掛けようとするやつだ。 「バーカ、俺のくじ運なめんなよ。山戸、見せてやれよ。」 山戸は紙に書いたトーナメント表を小池に見せる。 小池の後ろにいたチームメイトもその紙を見る。 「やるじゃねーか。準決まで敵なしかよ。」 このセリフに監督の佐野がメガホンで小池の頭をたたく。 「バカヤロ、油断すんじゃねーぞ。1回でも負けたら終わりだからな。それに目標はもっと先だ!」 実際その通りで、甲子園で優勝するには1回のチャンスしかない。 選手はグランドに戻り、練習を再開した。
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