0章-戦乱の宵

4/5
前へ
/10ページ
次へ
ここまで来ればもう安心だ。 奴はワープのような恐ろしい移動手段を持っているが、わざわざ4人ばらばらになって逃げてきたのだ。 そう簡単に追ってこられるはずがない。 閃光。 伸びる影。 咆哮。 何が起きたか理解するよりも背筋が凍るほうが先だった。 嘘でしょ・・・? 奴が・・・・・・。 振り向かずとも分かる。 あの白い発光は間違いない。 何よりこの轟くような雄叫び声。 奴が来たのだ。 「インセクター反応!?・・・そんな!」 オペレーターの驚く声。 「走れ!!」 弾かれた弓矢のように私はスーツを加速させた。 「リリア!!ヘリを出せ!!」 「ヘリ回します!」 もはや誰が何を叫んでいるのかは判断出来なかった。 出来ることはただ一つ。 ひたすら速く走ること、走るのを止めたら待っているのは「死」だ。 奴の凶暴性はアドミラルクラスの比ではない。 スーツを穿ち、地を火の海と化す。 「インセクターから異常なエネルギー反応!!・・・まずいです!ヘリを狙うつもりです!!」 「なんだとっ・・・っくそおおおぉ!!」 「カミヤ!!」 私のすぐ横を走るスーツが急停止し、即座に反転する。 「駄目です!カミヤさん!!」 私もブーストを止め、振り返る。 醜悪な色をした鋼鉄を見にまとった人型がそこにはいた。 本来なら両手で持つガトリングを、片手で軽々と持ち上げ、二丁の矛先を私達ではなくヘリに向けていた。 「カミヤさん逃げましょう!!」 「お前らは先に行け!俺が食い止める!!」 「カミヤさんを置いては行けません!」 ここで彼を置いていけば、彼は確実に死ぬ。 それだけは絶対に嫌だ! 「いいから言うことを聞け!!」 「嫌だ!!カミヤさんも一緒に逃げるんだ!!」 ガトリングは今にも火を吹こうとしていた。 「くそっ・・・!」 その声を後に私は身体が麻痺するのを感じた。 「エレナ!ユンを連れて逃げろ!!」 ・・・スタングレネード!? 「分かりました。」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加