0章-戦乱の宵

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・・・嫌だ。 「嫌だぁああ!」 身体が動かない。 「エレナさん離して!!」 必死でもがこうとするのに、手足がまるで自分のものではないかのようだ。 「ユン!・・・君なら必ず鋼鉄虫から地球を救える!!」 違う・・・私が聞きたいのはそんな言葉じゃない。 私は弱い。 救えるわけない・・・。 「おぉぉぉぉぉぉ!!」 クローを両手に装備したスーツが、インセクターに向かって突進する。 インセクターはそれに呼応するように唸り、標的を変えた。 「いやだぁあああ!離せ、離してよ!!」 私は無理やりヘリに押し込まれ、どうすることもできなかった。 「ヘリ出します!!」 胸が燃えるように熱く、叫んでその胸の内で暴れる何かを押し出そうとするが、出て行くのは声にならない叫びだけ。 「カミヤさん!!!」 どれだけ叫んでも、あのやかましい大声は聞こえてこない。 聞こえてくるのは真下からの爆音と、相変わらずの雨音だけだった。
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