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・・・嫌だ。
「嫌だぁああ!」
身体が動かない。
「エレナさん離して!!」
必死でもがこうとするのに、手足がまるで自分のものではないかのようだ。
「ユン!・・・君なら必ず鋼鉄虫から地球を救える!!」
違う・・・私が聞きたいのはそんな言葉じゃない。
私は弱い。
救えるわけない・・・。
「おぉぉぉぉぉぉ!!」
クローを両手に装備したスーツが、インセクターに向かって突進する。
インセクターはそれに呼応するように唸り、標的を変えた。
「いやだぁあああ!離せ、離してよ!!」
私は無理やりヘリに押し込まれ、どうすることもできなかった。
「ヘリ出します!!」
胸が燃えるように熱く、叫んでその胸の内で暴れる何かを押し出そうとするが、出て行くのは声にならない叫びだけ。
「カミヤさん!!!」
どれだけ叫んでも、あのやかましい大声は聞こえてこない。
聞こえてくるのは真下からの爆音と、相変わらずの雨音だけだった。
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