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「もう、行っていい?」 「ちょっと待って」 俺は涼介の鞄を取り、中身を確認した。 「これは、俺が預かるからな」 俺が出したのはカッター なんでかって?涼介が俺のいないうちに切ってしまわないように。 「やだよ!俺のものなのに...!」 涼介は俺からカッターを奪おうとして必死に跳んでいる。 「分かってくれよ!...何回も...毎日言ってるじゃん..聞いてくれよ。な?」 こんな行為も毎日言い聞かせる度に、やっている。 記憶がまるで飛んだように...昨日言ったのにも関わらず分かってくれないんだ。 「...分かった..」 「学校終わったら返すから。ごめんね?」 「いいよ...」 「行こうか...授業始まっちゃうし」 涼介の手を取り、教室へ向かった。 ―カッターは体の一部。それを取ったら、壊れてしまうことくらい、俺は知っているよ。
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