一章 ちょっとまってくださいよ

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服についた土ほこりをパンパンと叩いてから歩き出す。 特に面白い町じゃない。警察が無能すぎるのを除けばごくごく一般的な犯罪都市だ。つーか多分警察働いてないと思う。 現にとーちゃんとかーちゃんが証拠だ。よし、上手いこと言った。 理人「今日もハロワに行く気はなし。昼飯代と渡された金はパチですった。とくりゃあ…… ……あ、もしもしとーちゃん? またパチ負けたわ。あっはっは! いやちょ、臓器売れってのは流石に痛すぎるっすわ」 どうやらウチの父親は息子を人間と思っていない様子でおられる。その通りだよとーちゃん。 俺は人間をやめたぞ!明彦ーーーーッ!!俺は人間を超越したッ!明彦、麻美、貴様等の生殖行動でだァーーッ!! 空しくなるだけだった。 二十にもなって自分の心の中だけでもこんなこと言ってるの俺だけだろ。 さーて、とーちゃんとかーちゃんが仕事から帰ってきたらハラキリだな。ならさっさと帰って準備しとくか。 理人「やあこんにちは空き巣さん」 「誰が空き巣だ。これでも僕は一端の社会人だぞ。腐れニートは黙って親のすねでもかじってりゃいいのさ」 理人「遥は俺が何のためにハロワ行ってるかわかってんの?」 遥「暇つぶし。これに限るね」 ばれてた。てへぺろ。
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