九月一日

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「いい質問ね。基本的には、与えられた依頼の達成率、その過程などを学園側が総合評価して、ランキングが決められると思ってちょうだい」  成る程、しかし―― 「でも、最初の依頼を受けるときは――」  俺の疑問を代弁するかのようなクリサリスの質問に、思わず彼女を見る。  が、すぐに当然だと思い直した。  普通、考え付く疑問だろう。  最初を決めねば、次に繋がることはないのだから。 「そうね。各学期の最初のランキングだけは、クラス対抗試合で決められるの」  ほほぉ、てことは何かしらの競技でもやるのかな? 「クラス対抗試合ってなんの試合ですか」  今度は清隆から質問が飛ぶ。 「えーと、あなたは確か……葛木清隆くんね?」  やはり、先輩は担当生徒の顔と名前を把握しているようだ。  恐るべし。 「日本から来たあなたが知ってるかどうかはわからないけど、グニルックっていう魔法競技よ」  姉貴から聞いたことがある。  非常にアバウトな説明だが、中途半端な高さに浮かんだ球を、魔力を通した棒切れでぶっとばし、的をぶち抜く競技だとか。  要は魔力を使ったゴルフに近い競技、と認識している。 「試合は今から一週間後。ルールを知らない子には、私がしっかりと教えてあげるから、安心して授業に臨んでちょうだい」  ふむ、ならば安心できるか。
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