九月一日

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「ああ、そうそう――」  先輩の笑顔から、再びプレッシャーが、禍々しいプレッシャーが放たれる。 「私がこのクラスのマスターになったからには、敗北は許されないわよ!」  あ、これアカンやつや。  なんか瞳が燃えてらっしゃる。  絶対スパルタだ。  誰だ、安心できるなんて言ったやつは!  あ、俺だった。 「特に! シャルルのクラスに負けるようなことがあったら、たたじゃおかないからね!」  なんでマロース先輩名指し?  あれか? 胸囲の格差社か……グリーンウッド先輩とクリサリスに冷たい視線をプレゼントされたから黙ろう閑話休題。 「ま、私の指導に従えば、負けるようなことは絶対にないって思っていいわ。ビシバシしごくから、バッチリついてきなさいよね!」  体育会系なノリが苦手な俺が、早速ちょっとついて行けてません。  というかクリサリス、怖いから睨まないでくれ。  と、精神的にちょっとぐったりしたところでチャイムが鳴った。 「じゃあ、今日はここまで。皆、これからよろしくね」  今日は入学式のみで終了とのことで、授業の説明などは次回に持ち越しとなった。  これで帰れる、と伸びをしようとしたときだ。 「せっかくだから、この後、予科1年A組の親睦会を開きましょう。私が奢ってあげるわ」  との、ありがたい申し出を先輩より賜った。  まだ皆に挨拶してないし、何よりタダ飯である。  心が踊らないはずがない。  先輩は学園長に報告があるとかで、俺たちを待機せて教室を出た。  何故か、手伝いの名目で清隆を伴って。
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